- 10月
- 2024年11月
少し難しそうな話をしますが、これはずっと前から感じていたことで、中小企業の資金繰りを悩ます原因となる問題で、改善していただきたいと思っているのでまとめてみます。
・中間申告・納税とは
前期の法人税納税額が20万円を超えた場合、今期の税金を前払いする「中間申告」と「中間納税」が必要となります。申告期限は、決算開始から6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内(決算日から8ヵ月後)となります。たとえば4月決算の当社の場合、10月が中間決算月となり、12月31日が申告期限(納付期限)となります。
これは分かりやすく言うと、前期に利益を残して納税した場合、今期(納税した翌期)の中間で一度法人税・消費税を前払いする制度です。なぜこのような制度があるのかはわかりませんが、法人税・消費税を取り損ねないようにしているのかもしれませんが、これは非常に大きな問題を孕んでいます。
・中間納税の額
この納税額については2つの方法で算出することができます。
[仮決算]
半年間分の仮決算を行ない、その時点での申告額を算出する方法がありますが、下記の書類を用意しつつ決算処理を行なうので、非常に手間と費用がかかります。
– 半年分の貸借対照表と損益計算書
– 勘定科目内訳明細書
– 資本積立金額の増減に関する明細書
[予定納税]
前事業年度の法人税額を基礎として、次の算式により月割りで予定納税額を計算するやり方です。この中間申告により納付すべき法人税額等の計算は「前事業年度の納付法人税額×1/2」となるので非常に簡単で、単に納税額の半分ということになります。
当然、後者の方が楽なのですが、昨期にはそれなりに利益を残すことができたけれども、今年は業績が落ちているので、最終的に決算で昨期ほどの結果にはならない、などという場合には前者を選択することもありですが、手間と費用がかかってしまいます。
中小企業(当社は零細企業)では、人数も少ないですし資金力もあまりないために、ここで手間暇かけて仮決算をすることができないので、ほとんどの場合「予定納税」をしますが、まだまだ半年残っている状態でどうなるかわからないのに「去年と同じだけ稼ぐだろいう」ということを前提に納税をしなければならないのです。
この意味が分かりますでしょうか?
特に年末の資金需要が多いときで、なおかつまだ決算も終わっていないのに現金を税務署に持っていかれるわけですから、キャッシュフローがものすごく悪くなります。4月決算の場合、まず法人税を6月末日に支払っています(決算後、2ヶ月以内に納付する必要があります)。さらに12月末にその半額を払う訳ですから、それまでの6ヶ月にそれを上回る利益とキャッシュフローを構築しておかなければ、現金が大幅に減ってしまうのです。資金力のある大企業と違い、中小企業や零細企業では、銀行から借り入れをしない限り払うことができなくなります。
企業にとって現金は血液のようなもので、それがあるからこそ仕入や投資、日々の販売管理費を支払っていくことができます。これをこの制度では先に抜いてしまう訳です。経営者ならよく分かると思いますが、黒字決算と現金の額は必ずしも一致せず、利益が出ていても現金はそれほど増えていない場合の方が多いのです。そこにこの制度が追い打ちをかける訳です。
銀行に預けていればもらえたはずの(現在は微々たるものではありますが)金利も受け取ることができませんのでせめて金利くらいは払ってもらいたいところです。もちろん、本決算をして支払いが過剰になっている場合には還付をしてくれます。たとえば、前期1,000万円納税した場合、予定納税では500万円支払う必要がありますが、本決算時に納付額が300万円だった場合には200万円が返ってきます。しかし、それは6ヶ月後なのです。大事な現金=血液を6ヶ月も寝かせてしまうことになるわけです。
さらにヒドイのは、実は調べてみると、中間納税した額に対して金利を付けて還付するという制度がありましたが、この還付金利は本決算をして納税額が決定してから還付が行なわれる日までということなので、預かるのは6ヶ月でも金利を付けるのはたった2ヶ月分となるわけです。しかも、還付分に対してだけなので先ほどの例では予定納税した500万円ではなくて200万円にしか金利が付きません。
こんな制度では中小企業が頑張って利益を出して納税する気にもなりませんし、資金繰りが悪化して経営不振になりかねません。日本の経済再生のためには中小企業が元気になる必要がありますが、こういうところでやる気を削いでいるということを理解していただき、なんとか制度を改善していただきたいところです。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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